非上場株式の相続税評価
非上場株式の評価は持株割合に応じて、支配株主(同族株主)は原則的評価方式により、少数株主は特例的評価方式により評価します。
なお、支配株主か少数株主かは株式取得後の持株割合に応じて評価方法が変わります。
一般的にその会社を引き続き支配する同族株主は原則的評価となり、それ以外の少数の株主は特例的評価方法となります。
原則的評価方法
■類似業種比準価額方式
類似業種比準価額方式とは、事業の内容が類似する上場株式の株価を基準として、評価する非上場株式の1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価額の3つの要素(比準要素)を比較し、株価を計算する方法です。
類似業種比潤方式による評価においては、通常利益や配当が多い会社の株価が高くなる傾向があります。
■純資産価額方式
純資産価額方式とは、仮に解散した場合、株主に分配されるであろう正味の財産の価値で評価するものであり、この場合の資産の評価額は相続税評価額に基づき評価を行うことになります。
基本的にはすべて相続税評価額により評価を行うことになりますが、次の場合には注意が必要です。
- 土地建物等を課税時期開始前3年以内に取得等した場合の価額は、相続税評価額ではなく、課税時期における通常の取引価額相当額により評価します。
- 繰延資産等、換金価値のない資産は評価しません。
- 評価会社が受ける生命保険金等については、資産に計上する必要がありますが、同時に保険金に対する法人税等相当額について負債に計上することができます。
- 固定資産税等のうち、課税時期において未払がある場合には負債に計上することができます。
- 被相続人の死亡により支給が確定した退職金等は負債に計上することができます。
■類似業種比準価額及び純資産価額の併用方式
併用方式は上記の類似業種比準価額及び純資産価額を会社規模に応じた割合により評価額を計算する方法です。
会社規模に応じた評価区分
国税庁 財産評価基本通達
配当還元方式
少数株主が取得した株式については、原則的評価方法のような会社規模に応じることはなく、一律に配当還元方式により評価することとなります。
これは、僅かな株数しか保有していない従業員等の場合にまで原則的評価方法により計算することは困難な場合も多く、また、評価の簡便性からこのような評価を行います。
配当還元方式は、過去2年間の配当金額を10%の利率で還元して株式の評価を行います。 注意点は次のとおりです。
- 配当のうち、非経常的な配当(特別配当や記念配当等)は除きます。
- 中間配当を行なっている場合には、中間配当も含めて1年間の配当金額とします。