相続税の税務調査

税務調査の概要

税務調査とは、申告後に申告漏れがないかどうかを税務署が調べることです。

税務調査の行われる時期は、一般的に申告した年または翌年の秋が多いです。そして、この税務調査によって申告漏れが見つかる割合は、8割〜9割以上にもなるのです。そして申告漏れによる追加で納める税額は一件当たり平均700万円程度となっています。

国税庁が発表したデータでは、相続財産は土地が約60%と、他の財産に比べて割合が多いにも関わらず、税務調査により申告漏れがみつかる相続財産は、1番に現金・預貯金となっています。

税務調査の入る確率

相続税申告を行った者の約30%に対して税務調査が行われています。

一般的には遺産総額が3億円以上の相続税申告に対して税務調査が行われやすいと言われています。

書面添付制度について

書面添付制度とは、税理士法第33条の2に規定されている制度であり、この制度を利用する税理士は、申告書に”その内容が正しいということを税務署へ説明する書類”を添付し申告を行うことになります。

通常税務調査は、申告内容の不明点や疑問点、申告漏れ財産が存在する可能性等を総合的に勘案して、調査を行うかどうかを決めます。

そこでこの書面添付制度を導入し、申告時に事前に税務調査でチェックされそうな事項について税理士が税務署に対して説明を行います。

これにより、この申告書はきちんとした税理士が適正に作成したものであり、不明点等も解決されているので、税務調査は行わないでおこうとなる可能性が高まります。

しかし、この書面添付制度は、その資料の作成に事務的な負担がかったり、また、適正でない申告書を提出した場合にはその税理士にまで責任が問われてしまうおそれがあるため、導入している税理士事務所はごく少数(僅か数%)しかないのが現状です。

税務署への不服申し立てと審査請求

税務調査が行われた結果、税務署長等の行った更正や決定、滞納処分などについて不服があるときは、これらの処分を行った税務署長等に対して不服を申し立てることができます。これを「異議申立て」といいます。

異議申立ては、処分の通知を受けた日の翌日から2か月以内に異議申立書を提出することにより行います。異議申立書を受理した税務署長等は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理しその結果を異議決定書謄本により納税者に通知します。

異議申立てに対する税務署長等の判断になお不服がある場合には、さらに国税不服審判所長に不服を申し立てることができます。これを「審査請求」といいます。

審査請求は、異議決定書謄本の送達を受けた日の翌日から1か月以内に審査請求書を提出することにより行います。

審査請求書を受理した国税不服審判所長は、その処分が正しかったかどうかを調査・審理し、その結果を裁決書謄本により納税者に通知します。

ペナルティについて

税務調査で、申告漏れがあった場合や評価額の計算が違っていた場合には改めて申告をし直すことになります。この場合、その財産の漏れなどが故意にされたかもしくは単なるミスなのかによってペナルティが異なります。

故意になされたとされた場合には、本来払うべき相続税の他にペナルティが最高35%かかります。それに加え法定申告期限から追加納税までの期間の延滞税も加算されます。

単なるミスによって修正申告したときは、過少申告加算税が最高15%かかりさらに延滞税もかかります。

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