相続税の計算方法
相続税は関係ない人がほとんど
相続税を支払う人は全体の約5%程だといわれています。これは相続税には基礎控除という大きな控除があり、相続税がかかるかどうかは、まずこの基礎控除以上の財産があるかを確認することからスタートです。
相続税の基礎控除である5,000万円+法定相続人の人数×1,000万円までは非課税となります。例えば夫が亡くなり、妻と子供2人が相続人の家庭を想定すると、5,000万円+1,000万円×3人の合計8,000万円までの財産であれば相続税が一切かかりません。
相続税の計算方法
相続税を算出するステップは大きくわけて3段階あります。
まず第1ステップとして、相続財産の総額を計算しなければいけません。亡くなった人の、土地や現預金、株式、生命保険金等の全ての財産を集計します。そこから葬儀費用や借入金等の費用を控除します。
この遺産総額が、上記で説明した相続税の基礎控除額を下回っていれば、相続税はゼロ円となり、申告の必要性はありません。遺産総額が基礎控除を超えてしまった方は第2ステップへ進みます。
第2ステップでは、相続税の総額を求めます。相続税の総額は、法定相続人が、法定相続分通りに取得したものとして算出した各人の相続税を、合計して求めます。
これは遺産分割の方法により相続税額が変動し、不当な遺産分割協議を防ぐために、いったん法定相続分通りに相続したものと考えて相続税の総額を計算することを目的としたものです。
第3ステップでは、相続税の総額を実際の財産取得割合に応じて各相続人が負担することになります。
また、正確な相続税を計算するためには、特例や土地等の専門性を要する複雑な評価もありますので、基礎控除を超えた方は税理士に相談するのがよいでしょう。
相続税の税率
相続税額の計算方法は、各人が実際にもらった財産に直接税率を乗じるというものではありません。遺産総額から基礎控除額を差し引いた残りの額を民法に定める相続分により各相続人にあん分した額に税率を乗じます。
【課税標準】1,000万円以下 ⇒税率 10% 控除額 0円
【課税標準】3,000万円以下 ⇒税率 15% 控除額50万円
【課税標準】5,000万円以下 ⇒税率20% 控除額 200万円
【課税標準】1億円以下 ⇒税率 30% 控除額 700万円
【課税標準】3億円以下 ⇒税率 40% 控除額 1,700万円
【課税標準】3億円超 ⇒税率 50% 控除額4,700万円
実際の計算例
相続財産総額 2億円、相続人
子供2人で、子供Aが5,000万円、子供Bが1億5,000万円を取得するケース
ステップ1(基礎控除を引く)
2億円−(5,000万円+1,000万円×2)=1億3,000万円
ステップ2(法定相続分で按分し相続税の総額を求める)
子供Aの税額:(1億3,000万円÷2)×30%−700万円 =1,250万円
子供Bの税額:(1億3,000万円÷2)×30%−700万円 =1,250万円
合計:1,250+1,250=2,500万円
ステップ3(実際の取得額で按分)
子供Aの税額:2,500万円÷2億円×5,000万円=625万円
子供Bの税額:2,500万円÷2億円×1億5,000万円=1,875万円