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その他の相続手続き

相続大辞典

相続税申告以外の相続に関するその他の手続きについて解説しています。
相続した不動産の名義変更や、遺産分割がまとまらなかった場合にどうしたらよいのか等。

1.相続登記について

不動産を相続すると、その所有権の移転を第三者に明示するために登記が必要となります。
不動産の登記については、通常司法書士が手続きを行うことになります。
相続登記のタイミングですが、まず遺産分割協議が整うということが前提にあります。

遺産をどのように分割するかを決めた後に、遺産分割協議によって取得が決定した土地や家屋について、被相続人から相続人へ名義を移転するための登記の手続きを行うことになります。
申請は管轄の法務局に行います。

相続登記にかかる費用は、司法書士への手数料と、登録免許税(相続した不動産の固定資産税評価額の0.4%)がかかります。
相続税の申告をされる方は、申告の後に登記を行うのが通常です。

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2.相続不動産の売却について

相続した不動産を売却する際にも税金が発生する可能性があります。
不動産の売却よって発生する税金は、(売却価格−取得価額−譲渡費用)×税率の算式で計算します。

相続によって取得した不動産を売却する際の注意点は以下のものがあります。

① 取得価額が不明な場合

相続によって取得した不動産は、昔から所有しているケースが多く、そういった場合には取得時の価格が不明であることが大半です。

そのような場合の、取得価額の計算方法は売却価格×5%と定められています。

つまり、取得価額が不明の場合には、売却価格の5%しか算入経費がないことになり、税負担が大きくなります。

② 税率は39%と20%のどっち?

不動産売却時に税率は、その不動産の所有期間によって異なります。
所有期間が5年超の場合・・・所得税15% 住民税5%の合計20%
所有期間が5年以下の場合・・・所得税30% 住民税9%の合計39%

この所有期間は、相続開始前の分から引き継がれますので、売却時に5年の所有期間を経過しておらず、急な売却の必然性がない場合には、5年の所有期間経過後に不動産の売却を行うことで、19%の税金分を節税できます。

ただし、相続税の申告後3年以内に、相続した不動産を売却した場合には、相続時に支払った相続税の中から一定額を不動産売却時の税金から控除できるという制度もありますので、売却の際には税理士に相談するといいでしょう。

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3.遺産分割調停について

相続人間の話し合いで遺産分割がまとまらない場合には、どうすれば良いのでしょうか?

ここで登場するのが弁護士です。家庭裁判所に調停の申立を行うと、弁護士費用と期間がかかってしまうので、話し合いや交渉で解決の道筋があるのであれば、調停前に解決することで、費用負担や精神的負担が軽減できます。

しかし話し合いでは解決できる状態ではない場合には、弁護士に依頼し調停を行うことなります。
調停を行うには、家庭裁判所への申立が必要になります。

調停が成立すれば「調停調書」という名前の遺産分割協議書が作成され、その調停調書通りに遺産の分割が行われることになります。

相続税の申告手続きは、相続開始後10ヶ月以内と決められており、調停が行われると、10ヶ月以内での解決が難しくなります。この場合には、未分割という状態で相続税の申告書をいったん提出し、法定相続分で相続したと仮定して、相続税を納付します。

そして調停が終了し、遺産分割が決定した後に、再度申告を行い、当初申告との差額分を納税もしくは還付を受けます。

このため、相続税の申告を行う税理士と調停を行う弁護士が連携している方が、手続きがスムーズに流れます。

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4.相続放棄の仕方

相続放棄をすると、その法定相続人は初めから相続人でなかったことになります。被相続人(親)が莫大な借金を残して亡くなった場合に、その法定相続人(配偶者や子供など)にその借金を負担させてしまえば、残された家族の生活が成り立たなくなることがある等の場合に対応するために、相続放棄という手続きが認められています。

しかしこの相続放棄には注意点があります。それは、期限です。

相続放棄は各相続人が、「自分が相続人になったことを知った時から3ヶ月以内」に、家庭裁判所に対して「相続放棄申述書」を提出しなければなりません。

つまり、相続開始を知った日から3ヶ月を超えてしまうと、亡くなった方に多額の借金があった場合でも、それを相続して、返済していかなければならないのです。

ただし3ヶ月以内に相続放棄をするかどうか決めることが出来ない特別の事情がある場合は、家庭裁判所に、「相続放棄のための申述期間延長」を申請することにより、この3ヶ月の期間を延長してもらえる場合があります。

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5.葬式費用の相場

亡くなった後にまず行うのが、葬式です。ではこの葬式を行うにあたり、どのように葬儀会社を選定すればいいのでしょうか?

よくあるのは、病院の紹介や亡くなった後にどこからともなくやってくる葬儀会社の営業電話により、葬儀会社を決めるケースです。

このような方法で、葬儀会社を選定することももちろん結構ですが、その前にもう少し考えてみましょう。自分の希望にかなったお葬式を、予算内で施行してくれる葬儀社が一番ではないでしょうか。

よい葬儀社とは、丁寧な対応、分かりやすい説明、予算や希望に合った提案をしてくれる葬儀社と言えます。また、葬儀は担当者によっても変りますので、担当者の人柄によって選ぶのも一つの選択法です。

日本の葬儀費用の平均は、地域によって200万円〜300万円の間と言われていますが、インターネットで比較してみると、平均の半値以下で葬儀を行える業者がたくさんあることが分かると思います。

IT化が進んだ現代だからこそ、その開示されている情報を上手く活用し、希望の予算の範囲内で葬儀業者を探してみてはいかがでしょうか。

また葬式費用は、相続税の計算にあたり控除できます。

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6.金融機関の名義変更について

預金や上場株を相続した場合、金融機関で名義変更の手続が必要となりますが、その名義変更手続きの方法について、ご説明します。まず金融機関に預金の名義人が亡くなったことを伝えると、その口座は凍結され入出金ができなくなってしまいます。

通常の金融機関であれば、相続用に預金口座をどのように名義変更をするかを記入する用紙(払戻依頼書)がありますので、その用紙に法定相続人全員の署名と実印での押印を行い、印鑑証明書、被相続人の出生から死亡時までの連続した戸籍、相続人全員の戸籍等の必要資料を添付し、提出することで、口座の凍結が解除され名義変更が可能となります。

つまり相続人が複数人いる場合には、単独で行うことはできず、相続人全員の同意が必要になります。そこで、まずは被相続人の財産をどのように分けるのかを遺産分割協議により決定し、その決定した分割方法に基づいて、金融機関で手続きをとることになります。遺産分割協議書を作成されていれば、その遺産分割協議書でも名義変更が可能です。

また遺言書があれば、遺言通りに分割が行われますので、遺言と必要資料を金融機関に持参すると、遺言内容どおりに名義変更が可能となります。

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7.公的年金の手続きについて

手続をしなければ、もらえない年金などがありますので、忘れずに手続きを行いましょう。

①公的年金について

・未支給年金給付の請求

未支給年金給付の請求とは、受給権者が死亡した月まで年金を受給できるため、遺族がその期間分の年金を請求することをいいます。

未支給年金が請求できるのは、死亡した日の属する月の分までで、例えば7月1日に死亡しても、7月31日に死亡しても、7月分が支給されます。

また、年金の受給権者が死亡した場合、死亡届の提出が必要となります。

したがって、未支給年金を受けられる遺族がいる場合、未支給年金給付の請求と合わせて届け出が必要です。必要書類等の問い合わせは、最寄の社会保険事務所か市区町村役場の国民年金課で教えてもらえます。

また未支給年金については、相続税は非課税です。

(遺族基礎年金について)

被保険者または老齢基礎年金の資格期間を満たした者が死亡したときに受給できます。(ただし、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が加入期間の3分の2以上あること。)

また受給対象者は、死亡した者によって生計を維持されていた、(1)子のある妻 (2)子が対象となります。子とは原則的には、18歳未満の子をいいます。

(遺族厚生年金について)

  • 被保険者が死亡したとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に死亡したときに受給できます。(ただし、遺族基礎年金と同様、死亡した者について、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む。)が国民年金加入期間の3分の2以上あること。)
  • 老齢厚生年金の資格期間を満たした者が死亡したとき受給できます。
  • 1級・2級の障害厚生年金を受けられる者が死亡したとき受給できます。

また受給対象者は妻、子、孫(18歳到達年度の年度末を経過していない者または20歳未満で障害年金の障害等級1・2級の者)、55歳以上の夫、父母、祖父母(60歳から支給)となります。

上記の遺族年金については、相続税は非課税です。

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