信託を使った相続対策

信託とは、委託者が信託契約や遺言に基づく信託行為により、受託者に不動産や金銭等の財産を委託します。受託者は、受益者のために、委託者が定めた信託目的に基づき信託財産の管理や処分を行うことです。

信託をどのように相続対策に活用するか

遺言を補完する役割として活用する信託

遺言書では、自身の財産に関することを指定することはできますが、その財産を取得した人がなくなった時、つまり、2次相続の際の財産に関することを指定することはできません。

しかし、信託を活用することによりこれが可能になります。

例えば、Aは既婚で子供はいないが年齢の離れた弟がおり、財産は代々受け継いだものである場合。

通常の相続であれば、配偶者が全て相続し、配偶者が死亡した時には配偶者の相続人が、A家の代々の財産を承継することとなります。Aは財産を残したい血族がいるにもかかわらず、それを叶えることはできません。

このような場合、信託契約において配偶者の死後の受益権者を弟に設定することで、解決することができます。

財産の散逸を回避するための信託

農家や個人事業主等にあっては、相続により財産が分割されてしまうと、事業の継続が非常に困難になることもよくあります。

このような場合、農業等を引き継ぐ後継者にその営業に必要な財産を信託し、その他の相続人には受益権を与えることにより、円満な相続を実現することが可能となります。

なお、旧信託法は大正11年に制定されていました。現代の経済活動の発展や多様化に対応できなくなっていたため、旧信託法が全面的かつ抜本的に見直され、現行信託法は平成18年12月に制定されました。

これを受けて平成19年度税制改正において信託税制が整備されました。つまり、まだできたばかりの制度であり、相続対策としての利用方法等は今後も様々な方法が出てくると思われます。

Copyright © 2012 相続税申告手続きガイド | 税理士法人チェスター All Rights Reserved.