法定相続人がいない場合
相続人の不存在の確定
法定相続人がいない場合とは、法定相続人となる者が戸籍上見当たらない場合のほか、相続人全員が相続を放棄した場合や、相続欠落、推定相続人の廃除により相続資格を失っている場合をいいます。
戸籍謄本により法定相続人の有無を知ることができますが、例えば、生前認知されていなかった被相続人の実子は戸籍では判明しませんが、実子である限り死後認知されれば、相続人になる権利が生まれます。
そのため、被相続人に相続人がいないような場合には、まず、法定相続人がいないこと、相続人不存在の確定をさせる必要があります。
具体的には、利害関係者の申し立てにより家庭裁判所が財産管理人を選定し、その後催告や公告を経て一定期間相続人の申し出がない場合に相続人の不存在が確定します。
遺言書がある場合
相続人の不存在が確定した状態でも、遺言書がある場合には、被相続人の意思が尊重され遺言の内容が反映されます。
特別縁故者への財産分与
相続人が不存在で、遺言書もない場合には、何もしなければ相続財産は国庫に帰属してしまいます。
しかし、例えば、長年被相続人の世話をしていた内縁の妻などは、民法上の相続権が無いため財産をもらうことができず、国庫に帰属してしまうというのはあまりに酷な話です。
そこで、特別縁故者への財産分与という制度があります。
これは、相続人の不存在が確定した後、特別縁故者が相続財産分与の申立てを家庭裁判所に行い、これが認められれば、家庭裁判所の裁量により相続財産の全部または一部が特別縁故者に分与されることとなります。
特別縁故者は、誰でもがなれるわけではなく、以下のいずれかの要件を満たす者が特別縁故者として財産分与を請求することができます。
- 被相続人と生計を一にしていた者
- 被相続人の療養看護に努めた者
- その他被相続人と特別の縁故があった者